言葉は言霊(ことだま)。身体の老化を感じるとき、人は否応なく心も凋んでいく。今回、病気をしてつくづく思った。心が萎える人生の季節には、生きる力を与えてくれる美しい言葉が傍らに欲しいと。今日は誰もが知っているサミエル・ウルマンの青春の詩を書いておきましょう。驚いたことに、この詩はサミエルが70代に書いたものだという。第二次大戦後、来日したマッカーサー元帥がこの詩のコピーを額に入れ、日比谷の占領軍総司令部の執務室の壁に、掛けていたということは余りにも有名な話。私にとっては17年間お手伝いしてきた札幌簡裁を75歳で去る時に、共に仕事をしてきた八幡弁護士から贈られた詩でもある。
「青 春」 サミエル・ウルマン
「青春とは人生の或る期間を言うのではなく、心の様相をいうのだ。
優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱、
怯懦(きょうだ)を却ける勇猛心、安易を振り捨てる冒険心、
こういう様相を青春と言うのだ。
年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる。
歳月は皮膚のしわを増すが、情熱を失う時に精神はしぼむ。
苦悶や、孤疑や、不安、恐怖、失望、
こう言うものこそ恰も長年月の如く人を老いさせ、
精気ある魂をも芥に帰せしめてしまう。
年は70であろうと16であろうと、その胸中に抱き得るものは何か。
曰く
「驚異への愛慕心」
「空にきらめく星辰」
「その輝きにも似たる事物や思想に対する欽仰(きんぎょう)」
「事に処する剛毅な挑戦」
「小児の如く求めてやまぬ探求心」
「人生への歓喜と興味」。
人は信念と共に若く 疑惑と共に老ゆる
人は自信と共に若く 恐怖と共に老ゆる
希望ある限り若く 失望と共に老い朽ちる
大地より、神より、人より、美と喜悦、勇気と壮大、偉力と霊感を受ける限り人の若さは失われない。
これらの霊感が絶え、悲歎の白雪が人の心の奥までも蔽いつくし、
皮肉の厚氷(あつごおり)がこれを固くとざすに至ればこの時にこそ人は全くに老いて神の憐れみを乞う他はなくなる