異形の経営者 石川裕一氏(北大フェロー)講演メモ


70年も生きれば色々な方にお会いする。その中で、石川裕一氏は最も異彩を放つ人だ。人格的にも思想的にも魅力いっぱい。深い仏教哲学に支えられた死生観は独特のもの。キリスト教徒の家に生まれながら、若き日、自分は日本人なのだから仏教だと宗旨替えをされたとお聞きする。

高校まで学習院で学びながら、大学は北大に来られたという経歴も興味を引く。日本という国に誇りを持ち、日本の文化を大切にされる氏の独特の生き方には感嘆せざるを得ない。この小文は氏の講演を私がメモしたもの。ご縁が持てたのは、エゾシカ活動のおかげであり、(公社)札幌消費者協会の法人会員にもなって下さった。


石川裕一氏の写真
石川裕一氏

サラリーマンは匍匐(ほふく)前進。一兵卒なら話できるようにもならない。

目立つこと。しかし、頭を上げていると撃たれる。

目立つには、誰もやらないことをやること。運・縁・勘・度胸→勉強よりも大切だ。 

企画したものは、実行できるよう考え、できない理由を述べない。できるようにするために検討した結果、できないなら仕方ない。考えないでやめるのはダメ。直ちに進んで自ら運命を作るべきだ。前向きに考える。

 人の考えないことを考え、実行してそのことに価値を見出す。失敗は良いチャンス。

合理的でない、生産性がない、非効率、論理的でないことを重視し、その中に新しい価値を見出していく。

お金より大切なものは、世の中にいっぱいある。お金は使えば無くなる。運と知恵、人脈は無くならない。

人脈と知恵だけを子供に残せ。論理的でなくとも価値がある。

人生には限界あり。精一杯日々を過ごす。


価値観を持つ。しっかりとした死生観、人生観、歴史観、自然観をもつ。


国は鎖国できないが、会社は鎖国すべきだ。金を愛し、会社を愛さない株主・・・・。

株式上場を行わない日本の会社が増えることが望ましい。

優秀な官僚を守れ。企業と一体となって進む官僚を。護送船団方式は、最強と言われる経済を作り上げた。

その後の経緯をみれば明らかだ。

 

瀕死の状態で復活せよ。

悪人成仏→どんな悪人も土に還れば役に立つ。人間も動物の一種だ。土葬がいい。火葬は化石燃料を使うので勿体ない。

知識→他人(ひと)から聞かれたら答えられれば、人の役に立つ。他人のために勉強しているのだ。


明治維新は失敗だった。動物たちが受難。自分は動物である。だから、主治医は獣医。保険は利かないが、口をきかない動物を相手にしている医師だけに、診断能力は確かである。人間が獣医に見てもらうのは法違反なのだが・・・。


積丹半島の写真
積丹半島:写真提供 黒松内町 高橋興世氏

草木国土悉皆成仏そうもくこくどしっかいじょうぶつ)。

自然の草にも木にも生命があると思っている国が日本だ。

素晴らしいではないか。

 

1910年、大陸バト54億羽が減った。アメリカ流に皆殺しにしたのだ。

散弾銃の性能を試すために! 

人間は他の生物に迷惑をかけながら、人間だけ生きている。

動物園を廃止したい。もともと、西洋の王族たちが珍獣を集めて持ってきたもの。この国にいない動物を見させる必要はない。

見たければ生息している国へ行って見ればいい。

保護→上から目線だ。人間中心の近代文明の中でできた言葉だ。

「共生」という言葉がいい。

 


エゾカンゾウの写真
エゾカンゾウ 写真提供:黒松内町 高橋興世氏

日本の文化に対して畏敬の念を持つ。

人間の幅を広げるため、文化的なものに自分の稼ぎの大半をつぎ込め。

茶の湯、生け花、お香、能、踊り、三味線、琴などに対して、畏敬の念を持ち、自ら完成することが望ましい。和歌→覚えたほうがいいよ。サラリーマン川柳→すばらしいではないか。

 

自重互恵の精神→生きているのは他人のためであり、自分のために毎日を生きているのではない。

海外で活躍するには、自己主張を行うより、自分の確立を行い、相手の見解をよく認識して、協調できる途を探す。チームで仕事をするには、よく理解することが必要である。

海外では自分の意見はっきり言えとは言うが、言ったら終わり・・・ということも。

ディベートより根回し。 


ブナ林の写真
ブナ林(写真提供:黒松内町 高橋興世氏)
黄葉の写真
黄葉(写真提供 黒松内町 高橋興世氏)

目に見えるものは目に見えないものに支えられている。

 

論理じゃない。

五感を研ぎすませ、第6感、第7感を。

「運」とか「勘」はどうやって持ってくるか。

経験を積んで失敗の積み重ねでしかない。