2017年8月3日から16日まで、札幌東急デパートで開かれた「おくりびと終活フェア」のお手伝いをした。
この間、専門家によるセミナーが一日3回。便利情報に新情報、これを聴くだけでも相当な知識の集積になる。仏教の慧眼は「知識は智慧に至る門」と説く。聴講を続けることで生老病死の最後の門である「死」に対する怖れも軽減できるかもしれない。そんな思いもあってボランティアを続けてきた。
時代の変化をこの目で確かめることもできる。華やかな死装束、これまた美しい御棺、骨壺、遺骨から作られるジュエリーなど展示された品々に、こんな時代になったのかと目を見張る思いだ。そして、これらの品々に直接、手を触れることができるのも、こんな機会あればこそ。全国で初めての催しというから貴重である。この機会を逃さず、多くの人に新しい情報を手に入れて欲しいと願う。
感動するのは若い人たちのキビキビした美しい動きだ。75歳の女にはどうひっくり返っても太刀打ちできないものがある。さて、とっておきの人をご紹介しなければならない。納棺の儀のデモンストレーションを行った納棺士の木村光希氏。若干29歳だが、札幌の葬儀会社の社長さんだ。甘いマスクに似合わず、イベントに対するその指揮ぶりは心憎いほど的を得ていて、常に全体を見ている。その場でファンになってしまう女性客が多いのも最もなことだと思う。 ひたすら自分たちの仕事に取り組む彼ら、彼女たちは光り輝いていた。
異色の人にも会えた。リユース、リサイクル、遺品整理、特殊清掃をも手がける湊 源道氏。スタートは学生時代というから、時代の先を見る目は確かだ。素人にはわからない情報を惜しげなく忌憚なく語ってくれた。人生にこんな友人が1人はいて欲しいものだと、先の無い身はつくづく思った。
展示、セミナーを担当するのは若い方々だが、話が巧い。若いとはいえ専門家。老後の住宅探しも頭の痛いところ。介護施設を希望する場合、札幌市内には600施設もあるという。選択肢が多ければ多いほど選ぶ側は困ってしまうが、希望に合うところを探してくれ見学に連れて行き、引っ越しもやってくれる。入居後も不便はないか見に来てくれるとなれば一つ肩の荷がおりるようなもの。名刺一枚貰っておけば、いざというとき、高齢者には強い味方となるだろう。
旭川から登壇したのは、墓苑勤務の美しい女性。(一社)終活カウンセラー協会が認定したインストラクターの森 裕子さんだ。テーマは「墓地から見える北海道の終活事情」。印象に残ったのは、「60代の終活と75歳を過ぎてからの終活は質が違ってくる」ということ。60代はまだまだ死なないという楽しみ半分での終活活動も75歳になるとそうはいっていられない。切実感が焦りに変わる。そうなると悪質業者の狙いどころとなるらしい。彼女は勤務先の墓苑に花壇葬を導入、時代に追い付くだけではなく、更に一歩先を目指す努力を怠らない。