2019年5月8日。読売新聞朝刊一面に「エボラ輸入 夏にも」という衝撃的な見出しが躍った。
3/31ブログに「老後に知る!感染症の真実」としてエボラ出血熱に触れている手前、見過ごしにはできない。エボラ出血熱は、主として患者の体液等(血液、分泌物、吐物・排泄物)に触れることにより感染するようだ。高齢になると免疫力はガクンと落ちる。知識を有しておくに越したことはない。続編として当該記事の概要を記録する。
事の起こりは急激なグローバル化。近づく五輪・パラリンピックを前に、新たな感染症が侵入するリスクが高まっており、国は危機に備えた対応を急いでいるようだ。しかも、世界保健機関によると18年夏頃からコンゴ民主共和国でエボラ出血熱が流行しているとのこと。厚生労働省と国立感染症研究所が今夏にも、海外の研究機関からエボラ出血熱などの病原体を初めて輸入し、感染研村山庁舎のBSL4施設で保管する方針を固めたと報じられている。目的は患者が出た場合の検査に使用するため。
※ BSL4施設とは、病原体の危険度を4段階に分けた国際基準「Biosafety Level(バイオセーフティ・レベル)」に沿って、最も危険度が高い病原体を扱える安全設備を持つ研究施設。施設内の気圧を低くするなどし、空気が外に漏れない構造になっているが、本格稼働はしていない。海外には、米国など20か国以上に約60か所ある。(読売新聞5/8記事一面から引用)
*以下はすべて5/8付け読売新聞朝刊の1面、37面記事からの引用。
輸入の検査対象は、致死率が高く、感染症法で最も危険度が高い「1類」に指定されているエボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、南米出血熱、マールブグ病、ラッサ熱の病原体。所持や輸入は原則禁止され、国内では生きた病原体を使った検査は行えなかった。(中略)
感染研は同法に基づき輸入許可を受け、入手先と調整を進める。病原体は冷凍した状態で輸入し、保管する。病原体を使った治療法の研究開発は行わない。(一面記事引用)
現在、エボラ出血熱など、感染症法で最も危険度が高い病原体を扱えるBSL4施設が先進7か国(G7)で稼働していないのは日本だけだ。東京五輪・パラリンピックまであと1年あまり。稼働の準備を整える上で、国は、病原体の輸入判断をこれ以上先送りすることは難しいと判断した。患者の血液と反応させ、患者の免疫があるかどうかを調べる検査を実施するには、病原体が不可欠だ。治療効果を調べ、他者に感染させるリスクの有無を診断できるようになる。(同紙37面解説記事より引用)
厚生労働省の資料を基に読売新聞社が作成した「感染症法に基づく感染症の分類」(同紙37面解説記事より引用)
1類・・・エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、南米出血熱、
マーサブルグ病、ラッサ熱、痘そう、ペスト
2類・・・結核、中東呼吸器症候群(MERS)、ジフテリア
3類・・・コレラ、細菌性赤痢、腸チフス
4類・・・狂犬病、デング熱、日本脳炎、
5類・・・インフルエンザ、風疹、はしか
関連ブログ(2019.3.31) ※ 赤字は今回の輸入検討の対象。2~5類は一部。