2020年2月1日。フォーラム「アジアと北海道の付き合い方」(NPO法人日本自治ACDEMY 主催)に参加して驚いた。22歳の若者に人生を学ぶとは思わなかったからである。しかも、50歳以上も年の離れた私にフォーラム後の交流会席上で、感想を語れと指名されるのは想定外の出来事。海外を経験した20代の若者が国の民としての在り方について提言をする。それを受けて人生の視界が広がる思いだ。良い情報は共有したい。主催者の許可を受け、書きとったメモを公表する。
フォーラム登壇者は、北海学園大学経営学部教授 内藤 永氏。中国人民大学大学院商学部修士課程2年 篠原凌乃子さん。北海学園大学経営学部2年 伊藤 昴さん YABUSHITA MyanmarCO.Ltd 代表取締役社長 作佐部正隆さん。発言を羅列すると以下の通り。
・個人の能力をネットワークすることが大切。
・知性を獲得する(知性とは勉強ができるということではない)。
・発展途上国を甘くみてはいけない。
・自国の文化について十分に知らないと海外に行って、質問されたときに困ることになる。
・海外に行っても、行くだけ、見るだけじゃダメ。自分・チャレンジ・夢。
・何を見て何を感じ、未来につなげるかを考える人材が少ない。
・ただ、楽しいだけで終わる人が多すぎる。
・新しいことをやりたがらない。日本人は、若者含めハングリー精神に乏しい。
・国内だけで物事を考えている。
・北海道で戦うのではなく、世界で戦う。
・外国人と付き合うには知識・合理性。
・若い人は全てのことに本音と本気。体力と気力で。
・日本人はコミュニテー内で、空気を読みすぎる。気を使いすぎる。
・慎重さが仇となることも多い。
・大人のネガティブ発言。経験が豊かだからこそ!
・日本は「情報鎖国」。メディアに左右されすぎる。くだらないニュースしか流れない。
・家族間の交流が少ない。
・本を読まない。愛国心がない。
・世界的に日本の努力は落ちている。
・なにも教えてくれないコミュニテー。
・今の若者は思いを言語化しない。
・ただ、ハイ、ハイと従いつつ、黙って消えていく。大人を信用していないのだ。世代間の断絶。
・本当にダメなことを許してしまうのは最悪。
追記:2020.2.25
伊藤 翼さんの言葉を裏付ける記事を月刊誌「潮」1月号で見つけた。阿部龍太郎氏(作家)と佐藤 優氏(作家・元外務省主任分析官)が「ブレない歴史観の磨き方」をテーマにこんな対談をしている。
興味深いので、P.38中段4行目~下段最終行までを引用する。
「海外で役だつ教養としての『源氏物語』」
佐藤
海外に出かけると日本について語らなければいけない場面がたくさんあります。僕が少年時代にソ連・東欧を旅行した時も、必ず日本のことを訊かれました。異文化の中に飛び込んだとき、自分が生まれた国の歴史について全く知らないと、恥ずかしい思いをします。
阿部
こちらから海外へ出かけなくとも、異文化と接する機会はしょっちゅうあります。いまや日本を訪れる外国人は、年間4000万人の迫ろうとしていますから。
佐藤
彼らはガイドブックをよく読んでいますし、日本の歴史に詳しいですよね。話しかけられて質問を受けると、日本人の方が説明できず困っちゃうことがよくあります。
阿部
翻訳版の「源氏物語」を読んでいる外国人もよくいます。僕が友人を訪ねてイタリアに出かけたとき、現地にすごく詳しい人がいて、こっちがタジタジになったことがありました。そういうとき古典や日本史についての知識が豊富にあれば、外国人との話がおおいに弾みます。僕は歴史小説を書きながら、いつも教養とは、①知的な情報量②日本史と向き合う体験③その上に生まれる発想力、この三本柱だと思うのです。この三つがなければ、歴史小説はまったく書けません。歴史を知らなければ書けないし、歴史と向き合わなければ書けないし、歴史と向き合って格闘した経験がなければ書けない。その格闘経験を基にした自分なりの発想が生まれてこなければ、歴史小説は書けないのです。