雨の土曜日。特急「宗谷」で名寄へ向かう。途中の停車駅「剣淵」の写真を撮る。訪れたことはないが、絵本で町おこしをしたこの町に心惹かれるからである。此処には「絵本の館」がある。この町を舞台にした映画『じんじん(大地康夫主演)』を観たのは10年前も前のこと。映画から生まれた絵本「クロコダイルとイルカ」も買った。絵本は子供の心を育てるもの。一枚、また一枚とページをめくるたびに胸中の新しい世界が広がっていく。紙の質感と紙だけが持つ独特の新鮮な匂いの中で幼子の心は育つのではないだろうか。デジタル社会が如何に進もうと絵本は紙のままで残して欲しい。紙文化は捨てたものではないのだ。大人の書籍離れを悲しく思う。マイクロソフト創業者のビル・ゲイツにしろ、アップル創業者のスティーブ・ジョブズにしろ、一定の年齢になるまで、自分の子供たちにスマホなどのデジタル機器を持たせなかったことは有名な話だ。両者ともデジタル機器が幼子の健康な身体や脳を蝕むことを、そして創造性や芸術性を発達させるための能力を阻害していくことを熟知していたからだろう。