◇◆◇ 国民年金  3種類の基礎年金


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厚生年金では「保険給付」という言葉を使いますが、国民年金では「保険給付」とは言いません。ただの「給付」です。

これは保険料を全く納めずに給付を受けることができる人達がいるからです。厳密にいえば保険制度ではない部分があるためです。厚生年金は「厚生年金保険法」。国民年金は「国民年金法」保険という文字は入っていません。国民年金制度は、憲法252に規定する理念に基づき、老齢、障害又は死亡によって国民生活の安定が損なわれることを国民の共同連帯によって防止し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的としています。現役世代の国民が全員参加で支える世代間扶養であり、そのためには「強制加入」でなければなりません。社会保障の一環なのです。

 


憲法25

すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する(国民の生存権)

 

国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない(国の社会保障的義務)




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やがて、年金はもらえなくなるのことだから払うだけ損…民間の個人年金保険に入った方がいい…という風潮が世の中には満ち溢れていますけどね。痩せても枯れても国は国なの。国が潰れて民間が栄えることなんてないんですよね。民間が潰れても国は立っていますよ。国民年金は国が国民の老後のために用意した制度です。無くなることは考えにくい。

ただ、、高齢者が増えていく中で保険料が上がる…給付額が下がるといったことはあるでしょうな。国民年金の財源は、国民が支払う保険料だけではなく国のお金が1/2入っているのです。

富む者も富まざる者も受給額は一律。ざっと年額78万円。これに対して厚生年金は、支払う保険料もお給料に比例して様々。受給額も様々。現役時代、保険料を沢山払った人はそれなりに。残念ながらお給料がそれほどでなかった人はそれなりの受取額になりますが。


ともあれ、国民年金制度は保険料を払っているだけで「生きてよし、死んでよし、障碍者になっても大丈夫」という三拍子揃ったもの。こんなにお得な金融商品は他にはありませんよ。ただし、払っていればこその制度。老後のためにしっかり払い込みましょう。とはいえ、人生には失業などで、払えない時期もでてくるかも。そんなときは役所に相談しましょう。保険料免除制度もあるし、猶予制度もあるのですから。放置することが一番ダメ。






「死亡一時金」は、第1号被保険者として保険料を3年以上納めた人が、老齢基礎年金や、障害基礎年金を受けずに死亡したとき、生計を同一にしていた遺族(配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の中で優先順位が高い方)が受け取れます。


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月400円!「付加年金」をご存じですか。2年で元が取れるお得な制度なのです。

国民年金には月400円を保険料に上乗せして払う「付加年金」という制度があります。そうすれば65歳以降、200円に加入月数分をかけた金額が

毎年、年金額に上乗せされるのです。例えば、20年間にわたって付加保険料を納めた場合、年間48,000円が一生涯、上乗せされることに。払った付加年金の保険料は、400円×24=96,000円。67歳以上になれば元が取れてしまいます。その後は「生きている限り」なんて、この低利率の世の中に夢のような制度ではありませんか。 そのうえで、余裕があれば国民年金基金や民間の年金保険に入っておけば安心ですね。


18歳未満の子どもがいない場合は「寡婦年金」と「死亡一時金」のどちら かががもらえます。


第1号被保険者として保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせて、10年以上ある夫が、老齢基礎年金や障害基礎年金を受けないままに死亡したとき、その妻が60歳から65歳になるまでの間、受け取れます。


・受給要件

 夫が亡くなったとき、継続して10年以上の婚姻期間があり、夫に生計を維

 持されていた妻であること

・受給額

 夫が受けるはずであった老齢基礎年金の4分の3((第1号被保険者期間によ

 って計算された額に限る)。



悩む男性イラスト

金融庁は2019年5月22日、「『高齢社会における資産形成・管理』報告書(案)」を発表。平均寿命の伸びを受け、老後の資金繰りが多くの人の課題になる中、現状では「公的年金だけでは満足な生活水準に届かない可能性がある」と明言。国民に、「自助の充実」を呼びかけた。

報告書案では、現役期を「長寿化に対応し、長期・積立・分散投資など、少額からでも資産形成の行動を起こす時期」と定めた。老後まで時間があるため、保有資産や収入が少なくても「長期・積立・分散投資を習慣化して行うことにより安定的に資産を形成できる可能性は十分にある」ですって。NISA、iDeCoの活用や、信頼できるアドバイザーを見つけることも重要だと述べていた。長寿リスク。なんだか深刻になってきた…。老後は自己責任で…ということか。